海外食器の魅力「中国編」
中国の食器は、その歴史、美しさ、そして機能性から世界中で愛されています。中国の食器は、その独特のデザインと素材感が、食事を一層引き立てます。
目次
歴史と文化
中国の食器は、数千年にわたる長い歴史を持っています。古代中国の陶磁器は、その美しさと独特の技術で知られ、世界中のコレクターから高く評価されています。また、中国の食器は、中国の文化や哲学、例えば道教や禅の影響を反映しています。これらの要素は、食器の形状、色、デザインに表れています。
美しさと機能性
中国の食器は、その美しさだけでなく、機能性にも優れています。例えば、茶碗は、茶の香りと味を最大限に引き立てるように設計されています。また、食器の色や形状は、食事の視覚的な魅力を高め、食事を一層楽しむことができます。
ただ食器・陶器のメーカーと言うよりは地域名で有名なようです。そのためその他の国のような窯の名前ではなく地域の名前でまた焼き方や唐の時代などでも異なる呼び方があります。併せてご紹介したいと思います。
宜興(ぎこう)
宜興(ぎこう)は、中国江蘇省南部の都市です。太湖西岸に位置し、陶器を焼く長い歴史を持っています
宜興では、主に丁蜀鎮一帯で産出される陶器用の土「紫砂(しさ)」を用いて、茶器が作られています。紫砂は紫紺色をしており、その製品は「紫砂器」と呼ばれます。紫砂壺は、茶を淹れたときに渋みやあくといった成分を除去する形状や、熱湯を注ぐ際に注ぎやすい形状になっているなど、実用の面でも優れた作りになっています。そのため、多くの中国茶器は紫砂壺を最高峰と位置づけし、台湾などでも紫砂壺を手本にして茶壺が作られています。
景徳鎮(けいとくちん)
景徳鎮(けいとくちん)とは、中国江西省東北部にある景徳鎮市で作られた陶磁器です。景徳鎮市は2000年以上前の漢の時代から磁器作りの町として栄えており、かつては「昌南鎮」と呼ばれていました。
国を代表する陶磁器の名窯で、中国最大の古窯であり、現代においても中国陶磁業界で第一位になります。景徳鎮は、文化的かつ歴史的価値にも優れた中国美術品で、国宝や重要文化財に指定される作品もあります
白の粘土で作られた白磁と、コバルトによる精密な装飾で歴代の皇帝を魅了し続けました。青磁・白磁、染付(そめつけ)、赤絵などの多くを産出し、日本の「伊万里焼」やドイツの「マイセン」など、景徳鎮の影響が見られる陶磁器もあります。
釉裏紅(ゆうりこう)
釉裏紅(ゆうりこう)とは、陶磁器の装飾技法のひとつです。下絵付けに呉須の代わりに銅系統の彩料を用いて紅色に発色させるもので、染め付けと同様の技法です。中国、元代に景徳鎮窯で始まり、日本では俗に辰砂(しんしゃ)とも呼ばれます
釉裏紅は、呈色剤にコバルトではなく、銅を用いて赤色に発色させた釉下彩のやきものです。元・明時代を経て、清朝に至り、安定した発色が可能になりました。
康煕官窯(こうきかんよう)
康煕官窯は、清朝の康熙帝(1662~1722年)の時代に景徳鎮で焼かれた磁器です。康熙19年(1680年)に清朝官窯制度が確立され、予算も十分につけられました
康煕官窯の美術品には、一足だけ龍の爪が4本のものがあります。龍の爪は権威の象徴で、爪の数が5つは皇帝、4つは諸侯、3つは位の高い官僚を表します。
唐三彩(とうさんさい)
唐三彩(とうさんさい)は、中国の唐時代に作られた低火度焼成の陶器です。陶質の素地に白化粧や透明釉を掛け、緑や褐色の鉛釉を加えて焼成することで、三つの色が互いに混じり合い、独特の文様をあらわします
7世紀末から8世紀初頭にかけて焼かれ、多くは墓に副葬する明器(めいき)として作られました。器形には盤、水瓶、壺のほか、人物、楽隊、馬などを表わしたものがあり、文様は型押し、彫り、貼花によるものです。
当時の風俗や文化をいきいきと伝える写実的な描写と、複数の色彩を使って器面を装飾するという、それ以前の中国陶磁には見られない新しい手法を生み出したことが特徴です。
遼三彩、奈良三彩、ペルシア三彩などに影響を与えました。
まとめ
中国の食器は、その深い歴史と文化、美しさ、そして機能性から、その魅力は計り知れません。それは、食事を一つの芸術作品に変え、私たちが食事を通じて中国の豊かな文化を体験することを可能にします。中国の食器を使うことで、食事は単なる日常の一部から、一つの特別な体験へと昇華します。それが、中国の食器が世界中で愛される理由です。