ガスコンロとIHヒーター:それぞれのメリットとデメリットを徹底比較
キッチンの中心とも言える調理器具、ガスコンロとIHヒーター。どちらを選ぶかは、料理のスタイルやライフスタイルに大きく影響します。それぞれの特徴、メリット、デメリットを理解することで、あなたに最適な選択をする手助けになるでしょう。
ガスコンロ
メリット
火力を調整しやすいため、さまざまな料理に対応できる
ガスコンロは、炎の強さを調整できるため、煮物や炒め物など、さまざまな料理に対応できます。また、炎が鍋全体を熱するため、ムラなく調理することができ、焦げ目をつけたり、焙ったりといった料理も簡単にできます。特に、肉料理や焼き魚など、表面を香ばしく焼きたい料理に適しています。
停電時しても使用可能
ガスコンロは、電気ではなくガスを燃料として使用するため、停電時でも使用できます。そのため、災害時や停電時にも安心です。※ただし、すべてのガスコンロが停電時でも使用できるわけではありません。停電時でも使用できるガスコンロは、以下の通りです。
- 乾電池式のガスコンロ
- 停電対応用の乾電池ケースや内蔵の乾電池ボックスを備えたガスコンロ
乾電池式のガスコンロは、点火に乾電池を使用しているため、停電時でも点火できます。停電対応用の乾電池ケースや内蔵の乾電池ボックスを備えたガスコンロは、停電時でも点火するために、別途乾電池を用意する必要があります。なお、取扱説明書に「停電時でも使用可能」と記載されている場合は、停電時でも使用できます。なお、AC100V電源タイプのビルトインコンロもあり、こちらは停電時使用できません。
調理器具の種類が豊富
IHと比べて調理器具の種類が豊富です。鉄鍋や中華鍋など、直火で調理できる調理器具を幅広く使用できます。【例】鉄鍋、中華鍋、アルミ鍋、ステンレス鍋、ホーロー鍋、土鍋、ダッチオーブンなど
また、あおり炒めなどの調理法も使えます。
上記の通り使用幅の広いガスコンロですが、当然デメリットもあります。
デメリット
火災の危険がある
ガスコンロ、火を使うためどうしても火災の可能性があります。
~火の消し忘れ、鍋の油がはねて引火~
火の消し忘れは、ガスコンロ火災の最も大きな原因です。調理を終えた後は、必ずコンロの火を消すようにしましょう。また、鍋の油がはねて引火する火災も多く発生しています。鍋の油は、加熱すると急激に温度が上昇するため、注意が必要です。
~ガスの漏れ~
ガスの漏れは、ガスコンロの接続部やガスホースなどの劣化によって発生することがあります。ガス漏れが疑われる場合は、すぐにガスの元栓を閉めましょう。
~配管の劣化~
配管の劣化も、ガス漏れの原因となります。ガスコンロの使用年数が長い場合は、定期的に点検をするようにしましょう。
掃除が大変
ゴトクやバーナーなどの凹凸が多いため、掃除が大変です。特に、煮こぼれや焦げ付きなどの汚れが付着すると、落としにくくなりますので、こまめな掃除を徹底しましょう。掃除することにより、劣化や火災のリスクを減らすことができます。
キッチンが暑くなる
ガスコンロは、炎で直接調理するため、調理場が暑くなります。特に、夏場は暑く汗だくで料理を作るなんて事も… クローズドキッチンの場合は、熱がこもりやすくなるため、注意が必要です。
プロパンガスと都市ガスの違い
プロパンガスと都市ガスの違いは、主に以下の4点です。
- 原料
- 火力
- 供給方法
- 料金
1.原料の違い
プロパンガスはLPガスとも呼ばれますが、これは液化石油ガス(Liquefied Petroleum Gas)のことを表しており、原油が材料となっています。一方、都市ガスは、液化天然ガス(Liquefied Natural Gas)が原料となっています。プロパンガスは空気より重いため、床付近にたまります。一方で、都市ガスはメタン中心で空気より軽く、天井付近にたまるという違いがあります。
2.火力の違い
原料の違いから、同じ体積でもエネルギーとしての発熱量が異なります。プロパンガスは発熱量が高いため、火力を必要とする飲食店でよく使用されます。
3.供給方法の違い
原料の違いは、供給方法の違いにも表れています。
プロパンガスは、気体を液体の状態にしてボンベに入れ、各家庭に配送していますが、都市ガスは、気体の状態で地下の配管を通り、各家庭に直接接続されています。
4.料金の違い
現在は都市ガスもプロパンガスも自由料金制となっていますが、2017年までは都市ガスは、公共料金として決められた価格でしか販売することができませんでした。こうしたことから、どうしてもプロパンガスの方が高いというイメージが多くの人に定着してしまっています。
プロパンガスを適正価格に変更で都市ガス並み料金に
長野県の都市ガス事情
長野県は現在7社の都市ガス会社が供給しています。最も広いエリアに供給しているのは「長野都市ガス」で、約9万7,000世帯に供給しています。顧客数がそれほど多くない都市ガスとしては料金は非常に安いです。供給エリアは各社の供給エリアをご参考下さい。
長野県の都市ガス会社
松本ガス
https://matsumotogas.co.jp/sv1a.html
供給エリア【長野県】松本市、塩尻市
諏訪ガス
http://www.suwagas.co.jp/company/#erea
供給エリア【長野県】岡谷市、諏訪市、茅野市、諏訪郡下諏訪町
上田ガス
https://www.uedagas.co.jp/company/supply.htm
供給エリア【長野県】上田市、東御市
大町ガス
http://www.omachigas.jp/
(都市ガスエリアのページは見つけられませんでした。)
供給エリア【長野県】大町市
信州ガス
https://shinshugas.co.jp/gas/citygas/
(都市ガスエリアのページは見つけられませんでした。)
供給エリア【長野県】飯田市
長野都市ガス
https://www.nagano-toshi-gas.co.jp/company/kyoukyu/
供給エリア【長野県】長野市、上田市、須坂市、小諸市、中野市、佐久市、千曲市、東御市、北佐久郡御代田町、上高井郡小布施町、下高井郡山ノ内町
エナキス(塩尻都市ガス)
https://www.enakiss.co.jp/news/entry/1646
供給エリア【長野県】塩尻市
※供給エリアは日本ガス協会より出典
長野県の都市ガスとプロパンガスで料金比較
都市ガス価格 (プロパン換算) | LPガス適正価格 (協会価格) | |
基本料金 | 759円 | 1,650円 |
従量単価 | 355.2円 | 374円 |
従量料金(10m3使用時) | 3,552円 | 3,740円 |
合計料金 | 4,311円 | 5,390円 |
LPガスと都市ガスの合計差額 | LPガスより1,079円安い |
※価格:税込み表示(2024年1月現在)
※プロパンガスの熱量は、都市ガス比2.23倍のためプロパン換算(×2.23)
※都市ガスは、長野都市ガス一般料金表の2024年1月検針分「 A 」を採用。
昨今の都市ガス値上げで状況が変化
都市ガス料金をプロパン換算(2.23倍)した時、10m3の使用量で、都市ガスの方が安くなります(上記比較表参照)しかし、都市ガスとプロパンガスの両者を比較するとき、単純に支払い金額だけで判断するのは危険です。様々な視点で比較すると月々の支払金額だけでは見えてこないものがあるので、注意が必要です。
IHクッキングヒーター
メリット
1.安全性が高い
IHクッキングヒーターの最大のメリットは、安全性が高いことです。火を出さないため、火災ややけどのリスクが低く、子どもやペットのいる家庭でも安心して使用できます。また、IHクッキングヒーターは、温度設定やタイマー機能など、安全に調理するための機能が充実しています。例えば、IHクッキングヒーターには、鍋が離れると自動で電源が切れる「なべ離れ検知機能」や、鍋底の温度が一定以下になると自動で電源が切れる「温度ヒューズ機能」などがあります。これらの機能により、万が一の事故を未然に防ぐことができます。
3.省エネ性が高い
IHクッキングヒーターの三つ目のメリットは、使い勝手が良いことです。IHクッキングヒーターは、ボタンを押すだけで火をつけたり消したりできるので、火をつけたり消したりする手間が省け、調理に集中できます。また、鍋底の温度を細かく調整できるので、煮物や揚げ物などの料理も、より美味しく仕上げることができます。例えば、IHクッキングヒーターでは、火力調節を100段階から設定できる機種もあります。これにより、より細かい火加減をコントロールでき、料理の幅が広がります。また、IHクッキングヒーターは、フラットな表面なので、汚れがつきにくく、掃除がしやすいです。
デメリット
1.停電時に使用できない
IHクッキングヒーターの唯一のデメリットは、停電時に使用できないことです。IHクッキングヒーターは、電気を使わないと調理できないため、停電時には使用できません。例えば、災害時や台風などの際に停電が発生した場合、IHクッキングヒーターは使用できなくなります。そのため、停電時でも調理できるように、ガスコンロを併用しておくと安心です。
2.鍋底が焦げやすい
IHクッキングヒーターのもう一つのデメリットは、鍋底が焦げやすいことです。IHクッキングヒーターは、鍋底の中央から加熱されていくため、鍋底の周りが焦げやすい傾向があります。そのため、炒め物や揚げ物などの料理をするときは、注意が必要です。例えば、鍋底の周りに焦げ付き防止用のリングを敷くと、鍋底が焦げにくくなります。また、IH対応の鍋は、鍋底の厚みが薄いため、鍋底が焦げやすくなります。そのため、鍋底が厚い鍋を使用すると、焦げにくくなります。
3.鍋の種類が限られる
IHクッキングヒーターの三つ目のデメリットは、鍋の種類が限られることです。IHクッキングヒーターは、鍋底に鉄やステンレスなどの磁性体を含んでいる鍋でないと使用できません。そのため、IH対応の鍋を用意する必要があります。例えば、IH対応の鍋は、鍋底に「IHマーク」が付いています。また、IH対応の鍋は、一般的な鍋に比べて価格が高い傾向があります。
まとめ
IHクッキングヒーターは、安全性、省エネ性、使い勝手など、さまざまなメリットがある調理器具です。しかし、停電時や鍋底の焦げやすさなど、デメリットもあります。IHクッキングヒーターとガスコンロのどちらを選ぶかは、それぞれのメリットやデメリットを踏まえて、ご家庭の状況や好みに合わせて判断するとよいでしょう。